以下の記事を投稿してから、約一年間が経ちました。
夫婦で電通をやめて、新しい働き方をつくることに挑戦します。
参考:夫婦で電通をやめて、新しい働き方をつくることに挑戦します。
この一年間は、福祉ベンチャー「LITALICO」でマーケティングマネージャーをしながら、夫婦でデザインファーム「the Tandem」を経営していました。そして今月からは、LITALICOの正社員を辞め、しばらくはthe Tandemの夫婦活動に専念します。
夏ぐらいまでに、クライアントワークをやりつつ夫婦のライフワークとなるスモールビジネスをいくつか立ち上げて、また副業できる会社に属そうかと考えています。この一年間で「大企業、ベンチャー、独立・起業、パラレルキャリア」を経験するというひとり働き方改革みたいな生き方をしてみましたが、だからこそ「価値と、幸せを最大化する働き方」を実現するコツがわかった気がします。
生き方、働き方を見直す人も多い、新年度。少しでも参考になればいいと思い、この一年で得た失敗と知恵をシェアします。
スポンサーリンク
1、「価値」と「幸せ」を最大化する2つのコミュニティが必要
丸紅が社内副業を義務化したり、相変わらず「副業、兼業、パラレルキャリア」などの働き方はメディアで取り上げられているテーマです。
この一年間がっつりと兼業を実践してみて、2つの企業に属したり複数の仕事をすることは、けして本質ではないと思っています。
むしろ属する企業数や仕事を増やすとセルフマネジメントが難しくなり、余計にストレスフルな状況になることもあります。
私自身も試行錯誤した中で、以下の2つの目的の仕組み・コミュニティをどちらも持っていることが、大切なポイントだと考えています。
「価値を最大化するための仕組み」 (社会が主語)
「幸せを最大化する仕組み」 (じぶんが主語)
※「拡張家族」をテーマに、渋谷で数十人で暮らしている「Cift」がつくったグラフです
このグラフは、家族はより小さくなり、会社はより大きくなる中で全体感の喪失が起きている。家庭でも会社でも「人間の個別化」が進んでいるため、様々な問題が起きているということを表している図です。Ciftという団体は、家族や会社という枠をこえた「目的を共有したコミュニティ」の出現を提唱しています。
今はいくらでもウェブで人と出会ったり、コミュニティに属せるようになっています。ちょっと知恵をしぼれば、そのコミュニティでサラリーマン以上に稼げるようにもなっています。もはや会社とは何か、家族とは何かの、境がなくなってきているとも言えます。
ただ私はそのこと以上に、「会社」というコミュニティと「家族」というコミュニティはできた目的がちがうという、当たり前のことが大きな発見でした。
●家族系コミュニティ=「幸せを最大化する仕組み」(じぶんが主語)
※必ずしも血縁者でなくていい
もちろん会社で働くことが、じぶんの幸せを高めることもあります。
ただし会社の最上位の目的は、社会に「価値」を提供すること。そこは忘れてはいけません。働き方改革も、社員の幸せ度を上げるのも、すべては価値の最大化のためです。
それに対して家族は、「幸せ・愛」の最大化の仕組みです。ただ私たちのように夫婦活動は、お金や価値につながることもあります。ただし稼ぐことが目的になってしまうと、家族の「幸せ・愛」が減ってしまうリスクもあります。たとえお金になる仕事がきても、自分たちが幸せにならない案件は断る強さを持つことが、家族の強さでもあると思っています。
じぶんの生き方や働き方が見つかっていない人や、不幸になっている人は、以下の2つの状況のどちからに当てはまることが多い気がします。
状況1、価値を最大化する仕組みはあるが、幸せを最大化する仕組みがない
価値を最大化する「会社」しかコミュニティがなく、じぶんの幸せや愛を最大化するコミュニテイがない状態。
こういうときは、価値を最大化する「複数の会社」に属しても意味がないです。むしろプライベートの時間がなくなるので逆効果かもしれません。
どんな価値を提供したいかより、じぶんがどうありたいかを考え、「じぶんの幸せを最大化」するじぶん自身のあり方やコミュニティを検討するのが解決策になると思います。夫婦、家族、友だちとの関係を変えるだけでも、十分に解決できることも多いのではないでしょうか。
参考:「DOの肩書き」と「BEの肩書き」、何がどう違う?【第一回】
状況2:価値を最大化する仕組みと、愛を最大化する仕組みを混同している
会社は、価値を最大化するコミュニティであって、必ずしも幸せを最大化する仕組みではありません。「価値を創出すること=じぶんの幸せ」が重なるタイミングもありますが、重ならないタイミングもあります。
だから「会社は、なんで自分を幸せにしてくれないんだ?」など勘違いしてはいけません。幸せを最大化できるのは、自分自身だけです。
ただし会社(仕事)の中で、自分自身の価値や技術を高めることは、「幸せを最大化する」さいに大いに役立つ武器にはなり得ると感じます。
たとえば大企業で働き、社会に価値を提供することに満足感を感じながら、土日は家族と遊ぶことで幸せを感じる。
そのような生き方でも、じぶんの人生を生きることができる人はたくさんいるはずです。
表面的な「多様な働き方」に影響されると、良いことはないと思います。
2、妻を好きすぎる男のキャリア設計
「2つの目的」を最大化する仕組みを、それぞれ持つこと。
現在、私自身が実験していることと、今後の展望をまとめてみました。
冒頭でも書きましたが、今月から会社員を辞めて、しばらくはthe Tandem(夫婦の活動)に専念します。夏ぐらいにまでに、スモールビジネス(ライフワーク)を立ち上げて、また副業ができる会社に属そうかと思っています。
the Tandemは、「幸せ・愛」を最大化させるためのライフワーク。それがお金につながることもあれば、つながらないことがあってもよいと思っています。お金を稼ぐことは好きですが、そこを一番の目的にしません。※自分たちの幸せを最大化することは、長期的には価値も最大化される予感はしています
the Tandemの目的は、まず自分たちが幸せであること、幸せになるものづくりをすることで、社会の愛の総量を増やすこと。そして夫婦関係に向き合った先に、人生最後に「愛とは何か」に関して、集大成となる作品をつくりたいというのが最終目標です(笑)
働き方に悩むすべての人に使える「人生最後のしごと発想」
参考:働き方に悩むすべての人に使える「人生最後のしごと発想」
いまはクライアントワークも多いのですが、夏までにいくつかスモールビジネスをいくつか立ち上げます。この期間で、幸せを最大化する「ライフワーク」の部分を整え、一生つづけようと思っています。
the Tandemの活動は一生続けつつ、またどこかで会社に属そうと思っています。フリーランスは、けして自由ではないです。時間的には柔軟ですが、じぶんが意思決定できるリソースが限られています。仕事が自分でコントロールできるようになるぶん、新しいじぶんを開拓する不可抗力が減ります。
次の会社は、ゆっくり探そうと思っているのですが、世の中の構造を大きく変える企業に属したいと思っています。世の中の構造が変わるとき、あらゆるものの概念や価値も変わる。そのとき、どう価値を言語化するかは、コピーライターにとって大きなチャンス領域だと感じています。
私自身、仕事の目的としては、人類がより幸せに生きるためにあらゆるモノ・サービスの概念を進化させることに興味があります。ことばの技術で社会的インパクトが最大化できる場所で、仕事をし続けたいと。このあたりは、仕事をしながら変わっていってよいと考えています。
ちなみに妻は、the Tandemの代表/アートディレクターとして専念しつつ、どこかで週1〜2くらい会社に属すという選択をするかもしれません。アートディレクターとは関係のない分野の技術を身につけようかなあと、妻は話しています。
ふたりが、ふたりだけでは身につけられない技術や価値を身につけ、それもライフワークのthe Tandemに還元されていく。夫婦活動が飽きないのは、ふたりの技術が進化することで、ふたりが作り出せるものの幅も変わるということです。
将来おじさんおばさんになったとき、「愛とは何か」という問いに自分たちがどんな答えをだすのか、自分たち自身がいちばん楽しんでいる。それが、ライフワークを持つ楽しさです。
「会社」という価値を最大化する仕組みと、「家族」という愛を最大化する仕組みのどちらも持っていることは、人として精神状態を健康的にするだけでなく、両者にとって良い影響を与えると思います。
3、まとめ
「人間の個別化」が進む中で、人はよりつながりを求めて、複数のコミュニティに属す人が増える。コミュニティに属すときは、その目的を明確にする。
「価値を最大化する仕組み」「幸せを最大化する仕組み」そのどちらも持つことが、その人らしい生き方や働き方を見つけるポイントになる。
価値を最大化する(社会主語)のじぶんと、幸せを最大化する(じぶん主語)のじぶんのバランスを保つ。
今までは会社員をやりながらthe Tandemの活動もしてきたので、なかなかブログを書く時間がなかったのですが、この数ヶ月は更新の頻度をあげようと思っています。この一年間ほんとうに色々なことがあったので、自分自身のためにも書いておきたいことがたくさんあります。
またthe Tandemも、かなり仕事を制限してきたのですが、1〜2件もう少しだけクライアントワークを増やそうと思っています。広告業界から離れ、じぶんの中から出せることばの種類やその質も変わった気がします。どうすれば人が幸せになるのか、どうすれば経営に役立つのか。そこに、ことばの技術がなにができるのかを常に考えるようになりました。
ビビッときた方は、問い合わせからお願いします。
参考:だから、夫婦でクリエイター。 vol.01 銭谷侑(コピーライター)× 松永ひろの(アートディレクター)
圏外コピーライター 銭谷侑